クアラルンプール2日目は、若干の二日酔いと共に始まった。久しぶりに飲みすぎてまだお酒が残っている感じはしたけれど、とりあえず準備をして街に繰り出し、クアラルンプールの象徴、ペトロナスツインタワーを見に行こうと思った。


ナンパなベルボーイからもらった地図を片手にツインタワーを目指す。それにしても蒸し暑い。バンコクよりは若干マシだけど、やっぱり東南アジアは暑い。歩いていると汗が噴き出す。

20分ほど歩いたところで、わたしはツインタワーへ行くのを諦めた。昨日のお酒が残っていて元気がなかったし、慣れない土地で疲れもあった。昼過ぎにホテルに戻ると、ちょうどベッドメイクの真っ最中だった。気まずいな〜と思ったけれど、相手はわたしの存在など目に入らないかのように黙々と仕事をし、去っていった。



少し休んで繁華街のブギビンタンへ。昨日オジーボブと出会った屋台で、同じ客引きに再び声をかけられた。「昨日喋っていたold manとあの後どこかへ行ったのかい?」と聞かれたので、イエスと答えた。この屋台のおっちゃんは、愛想はないけれどいいやつで、わたしは気に入っていた。彼はわたしが店の前を通るたびに、手をあげて挨拶をしてくれるようになった。


屋台通りでひとりビールを飲みながら、道行く人たちを眺めるのはとても楽しい。アジアのいい意味での無秩序さが心地いい。道行く観光客に声をかける客引きの様子や、地元民たちを見ているだけで全く飽きることがない。騒がしさのおかげで孤独感を感じることもない。

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バンコクから来たわたしにとって、クアラルンプールは都会ながらも小さくまとまっていてわかりやすい都市だった。そして比べて少しばかり欲望くさい。バンコクは大都会で、人々がある程度(欧米や日本とまではいかないまでも)秩序を守って生活していたけれど、クアラルンプールは自分たちの欲望に正直に生きている感じがした。そういう意味で、熱気のある都市だと思う。そんな環境が心地よかった。バンコクは日本人でいっぱいだったから、ここではほとんど見かけなかったのもうれしかった。

欲望に正直という意味では、ナンパもすごかった。初日にホテルから出て街に向かって歩いていると、ものの5分で4人にナンパされた。バンコクでは全くされなかったのでびっくりした。しかも結構しつこくて、1キロくらい平気でついてくる人もいてビビった。ベルボーイでさえナンパしてくるこの国では、しつこいナンパなどいちいち驚くことでもないのかもしれない。


マレーシアは、マレー系6割、中華系3割、インド系1割の多民族国家。それぞれの民族がうまく調和して暮らしているのは、とても興味深かった。これについてはまた詳しく書こうと思う。


その日はクアラルンプールで働く日本人の友人と夕飯を食べることになっていた。彼は友人を介して知り合い、FacebookやLINEでやりとりをしただけで、実際に会ったことはなかった。歳はわたしよりも少し上。実際会ってみると、背が高くてなかなかカッコよかった。写真で見るよりも断然いい。

屋台街で食べて飲んで、街を少し歩いて、ホテルまで送ってもらった。彼は部屋まで行くと言い、わたしは了解した。




彼はやることを(2回も)済ませると、 「何か困ったことがあれば、すぐ言えよ」と言い残し、タクシーを呼んで帰って行った。彼が誰とどこに住み、どんな仕事をしているのかわたしは知らないし、聞こうとも思わなかった。正真正銘、一晩だけの関係。

会う前から、ただ食事だけで終わらないだろうと思っていた。お互いそのつもりで会おうと言っていた。それはすごく楽なことだと思った。なのにこの複雑な気持ちはなんだろう?

『女はSEXすると、相手に対する粘着質な物質を分泌するのでなはいか?』という言葉を、海外の映画だったかドラマだったかで耳にした記憶がある。本当にその通りではないだろうか?わたしは彼が帰ってしまったことを寂しいと思った。帰ってほしくないと思った。平気なふりしてバイバイしたけど、本当はずっと一緒にいてほしかった。カラダだけの関係でいいと思いながら、実際にそうなると寂しさを感じる。完全に割り切れない自分がいた。





彼が帰ってから、わたしは翌日のことを考えていた。クアラルンプールへ来たのは、ヨーロッパへ行きやすいからというだけの理由だった。すぐに出るつもりだったので、ホテルを2日間しか取っていない。明日からは宿無しだ。けれどわたしはまだマレーシアを離れる気になれなかった。マラッカなどの他の都市に移動することも考えたけれど、どうもしっくりこない。まだクアラルンプールを出る気になれない。かといってここで何かしたいわけでもない。

どうしたもんかと考えていると、Twitterでリプライが来た。マレーシアに住む吉本の芸人さんからだ。わたしはTwitterでこの旅の状況をつぶやいていて、芸人さんが「マレーシアへようこそ」的なメッセージをくれたのだ。それに対してノリで「突然ですが明日会えませんか?」と聞いてみた。


返信を待ちながら眠りにつき、朝になると返信が来ていて……



って感じで続く。