カテゴリ:旅の記録 > 初ひとり海外旅行



サグラダファミリアを見学し終えてぷらぷらしていると、正面にある公園でアイスを売っている屋台を見つけた。サグラダファミリアに入る予約に間に合うためにダッシュして疲れていたので、アイスでも食べてちょっと休憩することにした。


お店は縦長のつくりになっていて、手前のカウンターではアイスを、奥のカウンターではジュース的なものを販売していた。店員さんは2人いるものの、向こうのカウンターにかかりっきりで、アイスの方には誰もいなかった。一応声をかけておいたので、手が空き次第こっちへくるだろうと思ってアイスを選びながら待っていると、何やら騒がしい声がする。



出た。中国人だ。







ひとりの中国人のおばさんが、向こうの方にいる家族らしき人たちと大声でやりとりをしながらやってきた。そして先に並んでいるわたしなど存在しないかのように、順番を完全に無視してカウンターに乗り出し、大声で店員を呼びつける。


店員さんがやってきて、「手が空くまで待ってて」と言って奥の方へ戻っていくのも気にせず、今度はコインをガラスケースに「カンカンカンカン」と何度も当てて呼び出す。


うんざりした顔で店員さんがまた来て「だから待っててってば」と言っているにもかからわず、「チョコレートアイス頂戴!あとストロベリーもね!」と相手のことなんて全く気にせず注文を口にする。



「Hey hey hey, hold on, hold on!」



あまりの身勝手ぶりに、うんざりを通り越して呆れ顔の店員さん。





一言一言はっきりと、「手が、空くまで、少し、待ってて。OK?」と言い残し、再び奥へ戻る。














「カンカンカンカンカンカンカンカン」



















すぐにまたガラスケースをコインでたたくおばさん。



















イライラした顔で店員さんが来る。




「Calm down, calm down!」ちょっと落ち着けって、と店員さん。









「チョコレートとストロベリーアイスを頂戴ってば!」とおばさん。





もはや店員さんは、明らかに不審者を見る目でおばさんを見ている。おばさんはそんなの知ったこっちゃないとばかりに注文を繰り返す。両者譲らない戦い。



って、あれ?


















































わたしのこと忘れてねぇ?















 
わたしはおばさんに向かって、


「あのね、あなたの視界には入っていないかもしれないけれど、わたしが先に並んでたんですよ。だからね、店員さんの手が空いたら、わたしのアイスを先に作ってもらわなければならないんですよ。

あなたはわたしの後からやってきたんだから、おとなしくわたしの後ろに並んでなさいよ!」








とまくしたてる英語力はないので、たった一言。





















「I'm First!」


















険しい剣幕で伝え(それでもおばさんはなかなか譲らなかったのだけど)、最終的にはおばさんを横へ追いやり、無事、わたしはアイスをゲットできたのでした。


フンっ!中国人のおばはんに好き勝手させるかっ!きちんとルールは守ってもらいます!強引さに押されて泣く泣く順番を譲る…なんて絶対しないからね!日本人だからってなめんなよ!(←違うかw)




鼻息荒くアイスを受け取って、ベンチに座って食べた。

















鼻息の荒さが通常に戻ったころ、里沙ちゃんと合流した。わたしはバルセロナではまだ海を見ていなかったので、連れて行ってくれた。

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海を眺めながら、バルセロナについてのいろんなことを聞いた。


とにかく人が明るいこと。生命力に溢れていること。


他人の子どもでも、悪いことをしたらきちんと叱る「正しい優しさ」を持っていること。


学校の先生も、そういった正しい優しさを持っているので、両親は安心して子どもを任せられるということ。子どもたちも、先生のことを尊敬しているということなど…。






わたしは日本が好きだけど、疑問に思う部分も多い。その中のひとつが「教育」なのだけど、スペインの教育と日本の教育、どちらがいいかは別として、里沙ちゃんの話を聞いて、スペインの教育から学ぶべき点はたくさんあると思った。

 

それにしても、世界のいろんなところへ行き、いろんな人と話していると、たくさんの違う価値観に出会うことができる。 それは、旅での楽しみのひとつだった。


外国人に話を聞くのも素敵だけど、海外に住む日本人から、同じ日本人としての価値観を持った人から見た海外の様子を聴けるのも、すごく興味深いと思った。日本を知っているからこそ、海外に住んでみて、その国の良さや日本の良さがわかる。バルセロナに住む里沙ちゃんの意見を聴けるのが、すごくうれしかった。





里沙ちゃんとわたしは、同い年で同じ市出身と共通点が多く、会って2日目にもかかわらず、話が尽きることがなかった。どれだけでも語り合った。




本当に、世界にはどんな出会いがあるかわからない。旅の醍醐味は出会い。美しい景色を見ることや、海外ならではのアクティビティに参加することももちろん楽しいけれど、やっぱり出会いにはかなわない。


日本にいたら会うことができなかった人とこうやって出会い、同じ時間を共有していることがうれしい。偶然の出会いだけど、出会ったのは必然だとしか思えない。すべての出会いにそう感じるけれど、里沙ちゃんとの出会いは特別そう思った。きっとこの先何年も関係は続いていくんだろうと自然と思えた。






帰りにスーパーに寄ってビールやつまみを買い込み、里沙ちゃんのお宅に戻って晩酌タイム。里沙ちゃんのかわいい息子くんたちとも仲良くなれて、明日一緒にお出かけする約束をして、その日は里沙ちゃん宅のゲストルームで眠った。


 
つづく。



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朝ホテルを出て、ランブラス通りにあるボケリア市場へ。朝食用のチーズとパンを買い、食べる場所を探して旧市街をぶらぶらしていると、カテドラルにたどり着いた。荘厳で美しいカテドラルを眺めながら、ベンチに座って朝食を食べる。ものすごく贅沢な時間。

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▼ここの木陰に座ると、正面にカテドラルが見えるので、座ってのんびりしているだけで至福の気分を味わうことができる。
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広場では老夫婦が手をつないで散歩していたり、爽やかな青年が木陰で読書をしていたりと、ゆったりとした時間が流れている。







なんて素敵な場所…





















だけど…







































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SAMSUNGめ









 













雰囲気ぶち壊しだわ。
















しらけた気分でいると、インド人っぽい観光客(?)が「カテドラルをバックに、僕の写真を撮ってくれよ!」と声をかけてきた。残念なSAMSUNGは写さないようにして写真を撮るとってあげると、インド人はうれしそうにお礼を言い、「きみのスマホも貸して。撮ってあげるよ」とにこやかに申し出た。


いい人そうではあったのだけど、ここはバルセロナ。スマホをわたした瞬間ダッシュで逃げられたら困ると思い、ノーセンキューと言うと、彼は「そう?ならOK」とにっこり笑って立ち去った。 


もしかしたら本当に好意で言ってくれたのかな。だとしたら疑って悪かったなあと思いつつ、けれど一人旅で自分の身を守れるのは自分だけだから、これでよかったんだ。






朝食を食べ終え、まだ早い時間で観光客が少ないカテドラルの中へ。外観同様、中も荘厳な雰囲気。 
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次に向かったのは「モンジュイックの丘」。エスパーニャ広場の近くにある小高い丘で、バルセロナ市街を一望することができる。




上に上がろうと階段を上っていると、階段の踊り場で女性の集団に声をかけられた。「身体障害のある方のために、ここにエレベーターをつけるための署名活動を行っているの!よかったら名前を書いてくれない?」


にこやかにさわやかな笑顔で声をかけられたので、特に変にも思わず、「いいですよ」と言って名前を書いた。では、と先へ進もうとすると、「募金もしてくれない?」と言って立ちはだかる。


ん?なんで?署名を集めているってことは、行政に働きかけるためでしょ?なんで募金必要?おかしいでしょ。


断って通り過ぎようとしても、行くてを阻んで通らせてくれない。絶対この人たちおかしい…良く見てみると、愛想のいい笑顔ではあるものの、目は笑っていない。




「ここを離れろ!」と直感が告げていたので、「通してくれないなら向こうから回って行きます」と告げて来た道を引き返した。後でネットで調べてみてわかったのだけど、どうやら彼女たちはスリ集団で、ひとりが署名や寄付をお願いしているすきに、他のメンバーがバッグの中身やポケットに入った財布などを盗み取るという手口を使っているらしい。


超あぶないところだった…。ぼけぼけしていたら盗られてしまう。バルセロナへ行かれるみなさん、本当に気をつけてください。でも必要以上に怖がることはないです。自己管理をしっかりしていれば大丈夫。


パンツのポケットに財布やスマホを入れない。
飲食店ではテーブルにスマホを置かない。
バッグの外ポケットに貴重品は入れない。



そういったことに注意して、ここは日本ではなく海外なのだということを自覚して、持ち物をきちんと管理さえしていれば大丈夫です。でもでも、旅の熟練者が言っていたんですが、注意していても盗られるときは盗られるらしいです。だからもうそのときは、運命だっ他とあきらめよう♪












ところでモンジュイックの丘は、特に絶景が見られるわけでもないけれど、なんだか落ち着く場所だった。


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しばらく景色を眺めながら、今日のプランを思い返していた。

こっちへ来て2日目に運命的に出会った、バルセロナ在住の同い年で同じ市出身の里沙ちゃんが、おうちに泊まりに来てもいいよと言ってくれたので、里沙ちゃんの家にいったん荷物を置きに行く。


その後15時にひとりでサグラダファミリアへ行き、中に入って見学するという流れだった。わたしにしてはめずらしく、サグラダファミリアの中に入るために、事前に予約を取っていた。


(サグラダファミリアは中に入るのに長蛇の列が並んでいるので、事前に予約するのがベスト。塔に登のも予約が必須です)



予約したところまではいいのだけど、やっぱり計画性のないわたしは、里沙ちゃんのお宅に荷物を置きに行く時には、予約時間がかなり迫っていた。だけど焦る気持ちはまったくない。だってここスペインよ?ちょっとくらい予約の時間に遅れたってどおってことないさ。


なんて余裕ぶっこいていたら、里沙ちゃんの「サグラダファミリアは結構時間に厳しいらしいよ。時間に遅れたら入れないかも」の一言で急に焦り出した。



里沙ちゃんのお宅に荷物を預けて、旦那さんにあいさつを終えると、急いで地下鉄へと向かった。さっきまでの余裕はどこへやら、焦りと暑さでで汗だくになってサグラダファミリアへ。


地下鉄の出口を出て、受付と思われる場所へ行き、「15時に予約しています!これ!予約画面!」と差し出すと、「入口は反対側です」と言われてしまった。ガーン。


サグラダファミリアって結構でかいのよ!反対側って、めっちゃ距離あんねん!


この地点で15分以上遅れているわたしは、焦りに焦りまくって反対側までダッシュした。この旅いちばんの走りだった。反対側へたどり着き、受付らしき場所で警備員さんに「予約しています!」と言うと、無表情で「ここじゃない、あっち」と言われた。またか!一体いつたどりつけるんだ!





警備員さんが指差す方向へ行くと、人だかりができている場所があった。どうやらそこが入口らしい。ぜーはー言いながら係りのお姉さんに「ごめんなさい!遅れちゃいました!」と言うと一言。











「いいのよ〜♪」



















































いいんかい!






















めっちゃ焦ってめっちゃ走ったの返せ!














やっぱりスペインはどこまでいってもスペインだった。(そういうところがだいすきだよ!)



ということで、しっかりとサグラダファミリアを見学することができました。

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つづく。


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 ホテルをチェックアウトし、すぐそばにあるグエル公園へ向かった。グエル公園はガウディがつくった公園なのだけど、わたしは建築のことはさっぱりわからないし、ガウディにあまり興味がなかったので、入場料のかからない公園の外周をまわった。


バルセロナ自体が音楽にあふれた街だと思ったけれど、 グエル公園は特にそうだった。いたるところで音楽が流れている。流れていると言っても、スピーカーからBGMが流れているのではない。そこかしこに演奏している人がいるのだ。


日本で道端で楽器を演奏するといえば、人通りの多い駅前と相場は決まっているけれど、この国では観光名所はもちろんのこと、バルの前や地下鉄の構内など、本当にいろんなところに演奏して小銭を稼いでいる人がいて、生の音楽が聞くことができる。


音楽のジャンルも楽器も様々だ。クラッシック、サンバ(?)、ポップス……ギターにアコーディオン、笛(のようなもの)、木琴(のようなもの)、それぞれ好きな楽器で好きなように弾いている。


彼らの音楽は、ときには楽しい気持ちに、ときには安らかな気持ちにさせてくれる。わたしは彼らの演奏を聴いては、なるべく彼らにお金を入れるようにしていた。


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ひとりで旅をしているわたしに、音楽はちょうどいい癒しになってくれた。音楽で(ときにはダンスで)表現する人たちを見ている間は、なにも考えず、ただ音楽に聴き入ればいい。ひとりでいるといろんなことを(考えなくてもいいようなことまで)考えてしまうので、音楽はそんなわたしの硬くなった頭をほぐしてくれた。












昨日泊まったホステルはバルセロナの中心から少し離れていたため、今日は繁華街にあるホテルに泊まることにした。チェックインをすませ、近くのレストランへ。ひとりで海外旅行をしたことがある人ならわかるとおもうけど、ひとりだと困ることのひとつに、食事がある。


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海外の食事は基本的にボリューミーなので、慎重に選ばないととんでもない量のものを注文してしまい、ほとんど残してしまう、という悲しい事態になりかねない。


この旅で何度かやらかしているので、今回はそれは避けるためにメニューと真剣ににらめっこをするのだけど、スペイン語で書かれているのでちんぷんかんぷんだ。


値段が安いものなら、おつまみ的な感じできっと量も少ないだろうと判断し、めぼしいものをいくつかピックアップして店員さんに声をかける。メニューを指差しながら、料理の説明を求めると同時に、ひとつひとつに「これは量多くないですか?(とんでもなく巨大なものが出てきませんか?)」と聞く。


大丈夫だよ!と言うので安心して頼むと、やってきたのはただのチーズだった。おつまみ的なものじゃなくて、本当におつまみじゃんよ…さすがにチーズだけでは夕食にならないので、またもや店員さんを呼び、追加の料理をオーダーした。


今度もちゃんと「それも量多くないですよね?(こんなに巨大なものが来るんだったら、チーズだけにしておけばよかったよ泣 とならないですよね?)」と確認することは忘れなかった。





次に来た料理も、適度な量で安心した。量の問題は完全にクリアだ。タパス文化のおかげか、スペインで馬鹿でかい食べ物が出てくる心配はなさそうだ。


けれどまた新たな問題が。あやふやなわたしの英語と、あやふやな店員さんの英語で会話を行った結果、注文した料理が、どう考えてもビールに合わない組み合わせになってしまった。


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バゲットとチーズて……これはワインと共に食べるものだよね?ワインじゃなかったとしても、ビールではないよね?


せめてひとつくらいはビールに合うものを!と思い、また店員さんを呼んだ。今度はなんとなくじゃなくて、どんな料理なのかしっかり聞いて理解して注文するぞ!


揚げ物はないかと聞くと、店員さんの説明によれば、日本でいうコロッケのようなものがあるらしい。量もそれほど多くないとのことなので、1人前を注文した。







待つこと数分、店員さんが注文した料理を持ってやってきた。それを見て愕然とした。皿の上には、一口サイズのコロッケがたったひとつだけ乗っていたのだ…。


なんの盛り付けもなく、ただただ一口サイズのコロッケがぽつんとひとつだけ乗った皿を差し出されたわたしは、某然とコロッケを見つめるしかなかった。なんだろうこの脱力感。付け合わせのキャベツもなく、レモン的なものが添えてあるわけでもなく、真っ白な皿に、たったひとつ、一口サイズのコロッケが乗っているって…




なんか…


なんというか……































わびしい。。






















1人前とオーダーしたつもりだったけれど、どうやらわたしの考える「ひとつ」と、店員さんが考える「ひとつ」は違ったみたいだ。言語ってむずかしい。
















一口サイズのコロッケを一口で食べ終え、どうしたもんかとメニューを見ていると、ある重大な事実に気がついた。







































後ろの方に英語のメニューあった。
















なんか、海外で食事を注文することって、人生に似ている。なにも知らずに注文したら、予想外の量がやってくるし、量が多いことを心配して少しだけ頼んだら、とんでもなく少ない料理がやってくるし、わからないなりにがんばってスペイン語のメニューを解読していたら、後ろに英語のメニューが載ってるし。なかなかうまくいかないよね。だけどそれがおもしろいよね。








最後に、この旅でわたしがいちばん驚いた、バルセロナの夜の明るさを紹介します。









ではまた。



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【バルセロナ2日目(3)】誰もいないドミトリーから音が…  からの続き。



ありえない急斜面の道を歩いてたどり着いたホステルは、ありえないほどベッドの天井が低く、頭を何度も打ち付けてしまった。完全に疲れきったわたしは夕方にもかかわらず寝てしまい、目が覚めたらまだ外は明るく、夕方の6時くらいかなと思った。





だけど時計を見て驚いた。





え?夜の10時!?






夜の10時ってこんなに明るいの?!(まじで明るいの!)こんなにも日が出ている時間が長い国があるなんて生まれてはじめて知った…。衝撃…。ヨーロッパってまじすご…。夜の10時前でまだ明るいなんて…。なんてっこった…。世界は素晴らしい…。


あまりの驚きで、ちょっとパニックになった。リアルにこの旅一番の驚きだった。


(頭の悪さがバレる…ちなみに、緯度が高いからなんだよねって今の今まで思っていたけれど、スペインの緯度は東北と同じくらい。夜でも明るいのは、サマータイムのためらしい。確かに、アメリカに留学していた頃、バルセロナと同じくらいの緯度の街に住んでいたけれど、こんなに日が長いのは経験したことがなかった)













それはさておき、変な時間に寝て、変な時間に起きてしまった。どうしよう。これはもうお酒を飲んで無理やり眠気を誘うしかない。


お酒を売っている店を探そうと外へ出て、心臓破りの坂を下ると大きな通りに出た。少し向こうに店のようなものを発見し、そこへ向かった。


店に入ると、日本の都会のコンビニくらいの広さの店内には、お酒やスナック菓子、軽食などが売られていた。奥にビールコーナーがあり、値段を見てみると、500ml缶のハイネケンは1.95ユーロと表示されていた。


わたしが旅していた頃は、ユーロのレートは激高マックスの1ユーロ140円くらいだった。だから1.95ユーロは、270円くらいということになる。


ビール500ml缶で270円。日本の感覚でいうと、まあ普通かな。レジへ持っていくと店員が「1ユーロ」と言った。



い、1ユーロ??



1.95ユーロって書いてあったんだけど…





まあでも、安いことにこしたことはない。ラッキーと思って2ユーロ硬貨を渡すと、店員は1.2ユーロを返してよこした。





いったいぜんたいどういうこと?1.95ユーロと表示してあったのに、実は1ユーロで、2ユーロ出したら、1.2ユーロ返ってきた。うーんと、つまり、結局ビールは0.8ユーロだったということでOK?てか店員さん、さっきあなた「1ユーロ」とはっきり言ったよね?1.2ユーロもお釣り出しちゃって大丈夫なの??その、後からレジの計算とかさ…間違ってたら面倒なことにならない?



いらん心配をしつつ、まあでも1.95ユーロだと思って買ったのがたったの0.8ユーロで買えたのだから、うれしくはあるのだけど、でもなんか複雑。よくわからないぜ、スペイン。日本の常識で測ってはいけないのだ。





宿に戻る頃にはもう日が沈み、月が美しかった。初日は深夜に到着したから、今日が実質、はじめてのヨーロッパの夜。まだ完全に暗くなりきらない空には、美しい月の隣に、金星が輝いていた。

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ドミトリーの部屋にはベランダが付いていたので、椅子に座ってひとり月と金星を眺めながら買ってきたビールを飲んだ。それはすごく贅沢な時間だった。




しばらくベランダでゆっくりして、ベッドへと戻った。時刻は深夜の2時。もう完全に辺りは暗い。いい感じに酔ったし、ゆっくり寝られそうだ…





































バンバンバン
















ぎゃはははははh






























バンバンババンッ

































バババッババンッ
















〜♪〜〜♪〜〜〜♪(オペラ)←!?


















































































うるさくて眠れねぇ!!














外から人の笑い声や、爆竹を打ち鳴らす音がする。ちょっと!いま夜中の2時よ?!何やってんだ!早く家に帰りなさいよ!


旅をしていて曜日感覚がなくなっていたけれど、今日は土曜で、サタデーナイトを楽しむ若者が騒いでいたのだった。


てか!爆竹や騒ぎ声はわかるとして!

なんでオペラが流れる?!

ほんと、よくわからないよこの国は…。結局、爆竹や騒ぎ声やオペラは朝方4時まで聞こえた。スペイン人はまじでまじで元気だ。昼間、ドミトリーの同部屋の女の子(多分アメリカ人)が「Barcelona makes me tired.」と言っていたのを思い出した。そしてそれは的確な分析だなと思った。




 






翌朝目を覚ますと、ドミトリーの宿泊客たちが朝の支度をしていた。わたしもチェックアウトの準備を始めた。


ところでこのドミトリーのルームキーは少し変わっていて、鍵ではなく、カードキーでもなく、ICチップを埋め込んだゴム製の輪っかだった。腕にはめられるようになっていて、ドアの取っ手に付けられている機械部分にタッチすると、ドアが開く仕組みになっていた。 





チェックアウトをしようと、部屋を出て、




ん?ちょっと待てよ。































わたし、一度もルームキー使ってないぞ。







外へ出るとき、トイレへ行くとき、顔を洗いに行くとき…何度となく部屋を出入りした。よく思い返すと、いつでもドアは半開きになっていて、一度もルームキーを使う場面がなかったじゃないか…。




もうさ、言わせてもらうけどさ、






























この国本当に大丈夫?










もう昨日から色々とおかしい。だけど嫌いじゃないぞ、こういうの。いやむしろ好きかもこの適当加減。わたしはスペインという国に愛着を持ち始めていた。



つづく。 



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大樹さん(仮名)と大樹さんのルームメイトとご飯を食べていると、わたしと同じ岐阜県可児市出身で、しかも同い年の女の子がバルセロナに住んでいるらしく、大樹さんが呼んでくれて、ここに来てくれることになった。


しばらくしてやってきたのが里沙ちゃんだった。 


里沙ちゃんは、日焼けした肌に、ロングの黒髪がとても似合うめちゃくちゃかっこいい女の子。黒木メイサみたいな女子が好きなわたしにとって、里沙ちゃんはどストライクだった。それよりなにより、同い年で、生まれた場所も同じ人と、遠く離れたバルセロナで出会えるなんてすごい!この旅で一番の運命を感じた。




バルを出て、里沙ちゃんを含め4人でバルセロナ観光をすることになった。バルセロナが初めてのわたしに、大樹さんが気を効かせて名所に連れて行ってくれたのだ。



バルセロナのメインストリート、ランブラス通りにある「ボケリア市場」では、野菜、フルーツ、チーズ、サラミ、海鮮、肉、グミ(!)などが売られていた。観光名所のひとつでもある市場は、とても賑わっていた。

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▼うさぎの肉っ!しかも丸ごと!
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市場を出てランブラス通りをブラブラ。ランブラス通りは、道路の両側にホテルなどが立ち並んでいて、並木道が美しい通りなのだけど、ふと大樹さんが立ち止まり、ある建物を指差した。見上げると、建物の窓に誰か立って、道行く見物客に手を降っている。

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ん?




















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マリリンモンロー!?






















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間違いない!マリリンモンローだ!




でも、一目でカツラとわかる髪型と、似てるんだか似てないんだかよくわからない立ち振る舞いがなんだかちょっと安っぽい!


マリリンのシンボルマーク(?)である純白のドレスのスカートをはためかせるために、人工的な風を起こすという小芝居をして、通りを歩く観光客にアピールしているのも安っぽい!








でもわたしの目は、そんなマリリンではなく、マリリンの上に書かれている文字に釘付けだった。



















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EROTIC MUSEUM


























なになにEROTIC MUSEUMって!エロい博物館?めっちゃ楽しそう!どんなものが展示されているの?!年代別のセクシーな下着とか?プレイに使う道具とか??















興味深々で妄想全開。だけど入ろうということには(当然)ならず、その場を後にした。さよなら安っぽいマリリン。







そ次に立ち寄ったのがカテドラル。美しかった。

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次はカタルーニャ音楽堂。このときは中には入らなかったけれど、定期的にコンサートが開催されていて、もし都合が合えば見に行きたいと思った。クラッシックは詳しくはないけれど、聴くのはすごく好きだから。

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旧市街をぶらぶら。バルセロナの旧市街って本当に最高!歩いているだけで楽しい。
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ひととおり観光を終え、里沙ちゃんは家事があるとのことでお別れをした。大樹さんと大樹さんのルームメイトが、今日泊まることになっていた宿まで着いてきてくれた。


わたしが取ったのは、グエル公園の近くの宿だった。グエル公園は、なんというか、マジで坂の上にある。バルセロナの中心地からグエル公園に向かおうとすると、驚くほど急な坂道を登っていかなくてはならない。


宿は急斜面の中腹にあった。大樹さんたちに急斜面を登らせるのには抵抗があった。なぜなら、大樹さんは仕事で腰を負傷していて、実は座るのも立つのも歩くのも辛い状況だったのだ(そんな状況なのにもかかわらず、見ず知らずのわたしのために街を案内してくれたの!優しすぎる!)


そんな「歩くのも辛い」大樹さんに、まじでやばい急斜面を登らせるなんて…!ごめんなさいごめんなさい!けれど初めてスペインの宿に泊まるので、英語が通じなかったらどうしようという不安があった。チェックインの際、スペイン語が話せる大樹さんが いてくれたらとても心強い。申し訳ないと思いながらも、ちゃっかりホステルまで付き合ってもらった。




険しすぎる坂を登り、ようやくたどり着いた。一見するとホステルとはわからない見た目だったので、通り過ぎたり戻ったりして、拷問級の坂道を何度も行き来するという自殺行為をしてしまった。


だけどわたしなんて全然余裕だ。足腰は健康だし、荷物だって大樹さんのルームメイトに持ってもらっている。腰が痛いのを我慢している大樹さんと、他人の重い荷物を持たされて、心臓破りの坂を何度も登らされるルームメイトさんのことを思うと、坂のキツさに根をあげてなどいられないのだ!






やっと入り口を見つけ出し、(本当にわかりにくかった…)ホステルに入ると、小さなカウンターに女の子が立っていた。予約している旨を伝えると、気さくに対応してくれた。海外のホステルのカウンターで、愛想よく対応してもらったことがあまりなかったので、うれしかった。


そして心配をよそに、彼女は英語が話せたので助かった。英語ならわたしひとりでもチェックインはできたのだけど、大樹さんたちはチェックインが完了するまで待っていてくれた。本当にありがとうございます!






大樹さんたちは帰り、わたしは部屋に入った。ドミトリーの部屋だったけれど、小綺麗で清潔感があった。わたしは二段ベッドの上を割り当てられた。



さっそくベッドに登ろうと階段に足をかけようとすると、1段目がめちゃくちゃ高くて、思いっきり足をあげなければならない。ちょとなにこれ!西洋人仕様かよ!自慢じゃないけどわたしの足は短いんだよ!登りにくくて仕方ないわっ!


やっとのことでベッドへたどり着いた。幸いにもドミトリーには誰もいなかったので、アジア人が必死に短い足をばたばたさせて二段ベッドによじ登る姿をさらさずにすんだ。




やれやれ。ベッドで一息ついて、荷物を広げて整理をし始めたそのとき、誰もいないはずのドミトリーから音が…










ゴツっ…




ゴンっ…




ドゴっ…


















































ベッドの天井低すぎて、わたしが頭をぶつけまくる音ですけどね!







や〜まじでないわ。まじで天井低すぎるわ。さっきは西洋人仕様かよ!と悪態をついたけれど、西洋人もこの天井の低さにはびっくりでしょ。


だって、座って真っ直ぐ背筋伸ばせないのよ?執事が「お嬢様、おかえりなさいませ」ってお辞儀するくらい背中を倒さないと、天井にぶつかるのよ?どんだけ低いのさ?身長168センチのわたしが、足が短いって言ってんだから、それってつまり胴が長いってことなんだからね!わかってんの?!(知るかw)








リアルに20回くらい天井に頭をぶつけながら、なんとか荷物を整理して、まだ夕方だったけれど、疲れ果てていつのまにか眠ってしまった。


続く。 



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